竹内佐枝子

竹内佐枝子

福祉村保育園の概要について教えてください。
福祉村保育園では、さわらびグループの職員のお子さんたちおよそ90名をお預かりしています。職場に子どもを預かってくれる場所があるというのは、働く女性にとってはとても心強いことです。だからでしょうか、産休からの復職率が100%だと聞いています。複数人のお子さんがいらっしゃる女性職員も珍しくなく、ここ福祉村に限っては、少子化はまったく感じられません。「子育てしながら働ける環境が整っているから」という理由で、出産や結婚を機にさわらびグループへの転職を希望される方も少なくないようです。
ただ、当園では病児保育はやっていないんです。これは「子どもが病気のときはお母さんがそばにいてやるのが一番」という山本孝之理事長の考えに基づいています。理事長のこの方針のおかげで、さわらびグループでは、子どもが病気になった職員がいたら、シフトを融通し合う風土が根づいています。

福祉村保育園の特徴は?
当園では、季節の行事はもちろん、他施設との交流も積極的に行っています。たとえば、福祉村内にあるケアハウス「カサデローザ」のみなさんとはしゃぼん玉交流会をしましたし、特別養護老人ホーム「第二さわらび荘」の敬老祝賀会に招待されたときは、歌と楽器演奏、踊りを披露したほか、子どもたちが作成した壁掛けをプレゼントしました。
こうした施設交流会が2016年度は20回以上あり、お年寄りも子どもも、とても楽しみにしてくれています。子どもたちが一生懸命歌ったり踊ったりしている姿を見て、涙を流しながら喜んでくださる方も少なくありません。そうしたお年寄りの姿を見ると、子どもたちは「喜んでもらえた!」と嬉しくなりますし、私たち職員も「子どもたちがこんなに成長して……」「ふだんはおとなしい利用者さんがあんなに笑顔になって……」という具合にたくさんの発見があり、毎回、とても有意義なひとときを過ごしています。
福祉村には、障がいをお持ちの方や、外国出身の看護師・介護福祉士候補生も大勢いらっしゃいます。
園児たちが、障がいをお持ちの方やEPAの方たちと交流する機会もあります。園児たちには、「障がいのある人」「外国の人」といった区別は何もないのではないでしょうか。うちの園児たちにとっては、みんなが「福祉村で一緒に遊んでくれるお兄さん・お姉さん」なんです。他施設との交流がない日も、歌を歌ったり、図画工作をしたり、戸外で遊んだりと、子どもたちが充実した園生活を送れるよう留意しています。朝には「社会に目を向けよう」というテーマで、新聞記事を読み聞かせる時間もあるんですよ。
今後の目標は?
乳幼児期は人間形成の基礎となる大切な時期です。だからこそ、子どもたちにはさまざまな体験をしてもらって、どんな事態にも対応できる“生きる力”を育んでいってほしいと思っています。これからも、職員一同、全力でそのお手伝いをしていきたいですね。
さわらびグループでは30年以上前から職員の子どもを預かる保育室があったと聞いています。
福祉村病院の前身である山本病院のときから院内に保育室があったそうです。保育室は、山本病院が福祉村病院となった後も維持され、2004年に施設のさらなる充実を行い現在の形になりました。
今でこそ、事業所内保育施設のある企業も増えつつありますが、30年以上も前から職員のための託児施設があったという事実に、理事長先生の先見の明を感じずにいられません。病院というのは女性が多い職場です。女性にとって結婚や出産は退職のきっかけになりやすく、だからこそ、女性に長く働いてもらおうと思ったら、子育て支援は不可欠です。理事長先生もそう考えたからこそ、保育室をつくられたのでしょう。その着眼点が本当にすばらしいなあと、いつも感じ入っています。
