高橋奈奈

高橋奈奈

お仕事の内容と、生活支援員を志したきっかけを教えてください。
生活支援員は、その名の通り、利用者さまの生活を支援する仕事です。1人でお食事するのが難しい方には食事の介助をしますし、入浴が困難な方には入浴のお手伝いをします。また、ご本人様あるいはご家族の相談にのったり、レクリエーションの企画を立てたりするのも私たちの役目です。
生活支援員を目指すようになった明確なきっかけというのは、実は、特にないんです。たださかのぼると、私が通っていた小学校には特別支援学級が設置されていて、支援学級に通う子たちと交流する機会があったんです。子どもですから、相手に障がいがあるかどうかなんてわかっていなくて、単純に「友だちになりたい」と思って話しかけてみたけど、うまくコミュニケーションできない。「なんでだろう? どうやったら友だちになれるんだろう」と不思議で、それから障がいがある方に気持ちが向くようになったのかもしれません。

さわらび会への入職は1997年。以来「あかね荘」ひと筋ですね。苦労されたことはありますか?
働き始めて数年経った頃、精一杯仕事をしているつもりなのに、なかなかうまくいかなくて悩んだ時期があります。たとえば、就寝前には利用者さまを必ずトイレにお連れするようにしていたのですが、どうしても用を足していただけない。そして、夜中に粗相をしてしまう。「どうしたらよいだろう?」と自問自答を繰り返して、同僚や先輩にも相談しているうちに気がつきました。「私は、私が思い描く理想や目標を利用者さまに押しつけてしまっているのではないか?」って。
「夜中に粗相しないようにするのは、利用者さまのためにもよい」と思い、それを実現するために私は行動していました。けれど、そもそも、利用者さまご自身はどう思っていたのだろう? 利用者さまが用を足さなかったのは、就寝前はトイレに行くタイミングじゃなかったのかもしれませんし、もしかしたら、使いたいトイレが決まっていたのかもしれません。私はそうした思いを当時は把握できていませんでした。だから、うまくいかなかったんです。
とはいえ、利用者さまの想いを把握するのは簡単ではありません。知識もスキルも必要です。私はそれまで、「障がい者のみなさんの役に立ちたいという気持ちさえあれば、いい支援ができる」と心のどこかで思っていました。でも、気持ちだけでは足りないんですね。そう気づいてから介護と福祉について改めて学び直し、資格もとりました。
仕事をしていてうれしい瞬間は?
ご利用者さまの笑顔を見られたときです。幸せって、笑顔になれる瞬間の積み重ねだと思っています。誰かが笑顔になったとき、笑った本人も、その笑顔を引き出した側も、幸せな気持ちになれますよね。
ご利用者さまのなかには、障がいが重く、笑顔をつくれない方もいます。でも、ご家族や私たちスタッフがその方の話をしている最中に笑顔になれたら、それは、その方が私たちの笑顔を引き出してくれたということになると思うんです。つまり、笑顔をつくれなくても、その方には周囲の人間を幸せにする力がある。そう言えるのではないでしょうか。これからも、ご利用者さまが幸せになれて、なおかつ、誰かを幸せにできるような、そんな支援をしていきたいと思っています。
「あかね荘」で働くようになった経緯は?
私が「あかね荘」の存在を知ったのは中学生のときです。祖母が福祉村にある「ジュゲム」に入所したのがきっかけでした。お見舞いに行くと、病室からあかね荘が見えたんです。何気なく眺めていると、利用者さまがものすごくいい笑顔をされていたのが目に入りました。微笑むとかじゃなくて、快活に笑っているんですね。しかも、お見舞いに行くたびにそんな光景を目にしました。「大人があんなに笑っているなんてすごい。あそこはどんなところだろう?」と、気になって仕方がありませんでした。
高校を卒業し、福祉系の大学に進学した私は、あかね荘で実習する機会を得ました。実習して確信したんです、「私はこの場所が好きだ」と。そこで、さわらび会の新卒採用枠に応募したところ採用が決まり。あかね荘に配属されたというわけです。
